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MOVE ON 12 Champ 秘密のミーニーズ Interview

「変な使命感みたいなのに捕われていたりしますね(笑)」

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L to R:
渡辺K太朗(ds)、菅野みち子(vo,ag,pf)、青木利文(g,cho)、渡辺たもつ(vo,ag,eg)、淡路遼(vo,b)

 菅野みち子、渡辺たもつ、淡路遼、青木利文、渡辺K太朗によるバンド、秘密のミーニーズ。男女混声のコーラスアンサンブルと、ちょっぴりサイケなトーンも織り交ぜたギタープレイ、サプライズ性たっぷりの展開劇満載のバンドサウンドには、1960〜70年代のウエストコースト・サウンドのリスペクトを強く感じる。その音作りには先達へのリスペクトとオマージュもたっぷりだがちゃんと2014年の空気感を含んでおり、単なる懐古主義だけに留まっていないのが面白いところ。そんな秘密のミーニーズによる初のCDプレスによるアルバムが『おはなフェスタ』。一聴してとにかく音の良さに驚く。そしてバンドサウンドがさらに進化しているのを感じた。独自の日本語詩描写によるオリジナル楽曲で勝負。ちょっとした遊び心も秘めた内容で、楽曲の全貌は最後までちゃんと聴かない限りはつかめない情報量の多さで、ディティールまでたっぷりと楽しませてくれる。そのサウンドメイキングは明らかに他のバンドと違うものを具現化してみせた。
 菅野みち子、渡辺たもつ、淡路遼という3人のヴォーカリストを擁していることで、カラフルな色彩感も魅力である。秘密のミーニーズはMOVE ON12のチャンプバンドであり、本当はもっと早い時期にインタビューテキストを発表する予定だったが、様々な経緯があり発表が遅れたことをまずはお詫びしたい。しかし幸いにも、このたび意欲作『おはなフェスタ』のリリースでのインタビューが発表できることとなった。このユニークなバンドが生まれた経緯、そして『おはなフェスタ』のことを語ってもらったのでお楽しみいただきたい。音楽的なリーダーである渡辺たもつを集中的に彫り込んだインタビューになってしまったが、彼のCSNやアコギサウンドへの強い想いもまた、秘密のミーニーズの大きな魅力となっている。


秘密のミーニーズ 1stミニアルバム"おはなフェスタ" 予告編

コーラスをちゃんとやるバンドがやりたいとずっと思っていた

 秘密のミーニーズは2011年結成だそうですね。
渡辺たもつ(vo,g):僕と淡路が初期メンバーなんですけど、SNSでビートルズとか60年代の音楽が好きな人を探していて出逢ったのが最初ですね。で、淡路が大学の音楽サークルの後輩だったK太朗に声を掛けて。当時のリードギターは別のバンドが忙しくなって辞めたんですけど、たまたま青木さんが酔った勢いでメン募に反応してくれて弾いてくれることになって(笑)。しかも一緒に合わせてみたら、青木さんもたまたま僕のサークルの先輩ということがわかって。
 よくこの音楽性でこのメンバーが集まったなって思うんです。
渡辺:自分が主にクロスビー・スティルズ・ナッシュ&ヤングとか西海岸の音楽が好きで。そういう音楽がやりたくて持っていっているところもあるんですけど、基本的にみんなビートルズ中心にしつつ60年代の音楽の造詣が深くて。ビートルズを共通言語としてやっている感じですね。細かいニュアンスで違いはあるかもしれないけど、大枠は外れていないかなと。
 みなさん、どういう経緯で60年代の音楽に興味を持ったんですか?
渡辺:中学のときにTVでビートルズのCMを観たり、たまたまドラマでジョン・レノンの曲が使われているのを聞いて、遡って聴いていったりとか。あとは当時オアシスが流行っていたので、彼らもビートルズが好きだって言っていたし、その周辺を探っていったらいろんな関連のある人がいっぱいいて。映画『ウッドストック』を観たのも大きかったです。当時アメリカン・ニューシネマに興味を持って、『タクシー・ドライバー』でマーティン・スコセッシが好きになって。その流れで、アメリカ西海岸の音楽に興味を持ちましたね。
淡路遼(vo,b):僕は高校まではスポーツしかしてなかったんですけど、大学で誘われて軽音楽部に入ったのがきっかけですね。当時は“ニルヴァーナとか簡単だからコピーしよう”って体から始まった感じなんです。そこからリバティーンズやフランツ・フェルディナンドとか流行った時期に“イギリスの音楽って良いな”と思ってきて。そこからビートルズの良さに気づいたんですね。元々親もビートルズやイーグルス、ニール・ヤングも大好きで。たまたま実家に帰ったときに話をしたら、「だったらこれ聴いてみろ」って薦められたりして。そんなときにこのバンドに誘われたんですよ。
青木利文(g,cho):自分がギターを始めたのは中学時代なんですけど、友人にクラプトンが好きな奴がいて、クラプトン、クリームを聴いたことでギターにハマり始めて。レッド・ツェッペリンやザ・フーを聴いたりとか、その一環でニール・ヤングやビートルズを聴いたんですけど。ただそういう音を演るバンドは組んでなかったんですよ。そんなときに彼らと会って、それまでちゃんと聴いたことがなかったCSNも聴き直して。ニール・ヤングが好きだったから取っ掛かりはあったんですけど、改めて聴いたら凄い良いなと思って。それまでは60年代以前の音楽が好きで、シカゴ・ブルースとかそういう古い音楽しか聴いてなかったんです。
渡辺K太朗(ds):自分はプレイする音楽と聴く音楽が違ったんです(笑)。聴く音楽は小学6年くらいのとき、親父が持っていたビートルズの赤盤、青盤を聴いていたんですよ。他にもツェッペリンやドアーズなんかも持っていたんですけど、それを勝手に拝借して聴くようになって。親父が持っていないCDを自分の小遣いでも買い始めましたね。プレイする音楽のほうは、別にビートルズをやりたいからっていうより、ドラムはモテたいから始めた(笑)。中学のときに初めて演ったのはブルーハーツのコピーでしたし、プレイするのと聴くのが一致してきたのは大学に入ってからかな? 私と淡路、菅野で同じ大学の音楽サークルに入っていたんですが、淡路さんに誘われてビートルズのコピーバンドをやるようになったんです。
淡路:新入生で先頭でやたらテンション高い1年生がいて「ビートルズが好きなんです!」って(笑)。それがK太朗だったんです。
渡辺K:このバンドに参加したのは大学卒業してからなんですけど、ちょうど良い機会だったので。
 パーカッション的なドラムアプローチもしたりとか非常に独特なスタイルですよね。
渡辺:僕、ドラムのことがまったくわからなくて、デモEPのときはほぼ彼の独創性というか。逆にデモテープみたいのを作ってきちゃうと、彼はそのまま忠実に再現しようとしてくれちゃうというか。そうじゃなくて、彼の持っているものが凄く面白いと思っていたから、あえてデモテープにはドラムを入れなかったんです。自由に叩いてもらうことで凄く面白いものができるという。
 ドラムの押し引きが面白いですよね。フィルは入れるときは入れるけど、入れないところは潔く入れないという(笑)。
渡辺:やっていくうちにその押し引きみたいなのがわかってきたというか。最初はみんなドコドコ音をぶつけ合っていたからクリームみたいだったというか(笑)。
 そしてこの中に紅一点がいるっていうのが秘密のミーニーズの面白さですよね。
菅野みち子(vo,ag,pf):私はもともと女性シンガーソングライターが凄く好きで、安藤裕子さんとかジョニ・ミッチェルとか。大学院卒業するくらいで、前にいたミーニーズの女の子が抜けちゃって。やっぱり3声コーラスだから(高音域のパートが歌える)女性ボーカルを探していたみたいで、大学の軽音サークルで同級だった淡路君が声をかけてくれたのがきっかけなんです。
 あ、もともとミーニーズは女性ボーカルありきのバンドだったんですね。
渡辺:僕は別のバンドでリードギターをやっていたこともあるんですけど、やっぱりビートルズやCSNみたいにコーラスをちゃんとやるバンドがやりたいとずっと思っていたんです。


秘密のミーニーズ「ヌマベの踊り」2014.4.21 新宿JAM

60〜70年代のリバイバルブームを起こしたい

 みなさん、あまり邦楽のほうには興味が行かなかったんですか?
渡辺:いや、普通には聴いていました。日本の音楽も60〜70年代のものは大好きです。
淡路:はっぴいえんど、はちみつぱいとか。
渡辺:ナイアガラ(大滝詠一が主宰していたレコードレーベル)もだいたい聴きましたし。普通に聴いていますよ。
 ソングライティングは渡辺さん、淡路さんが中心ですが…。
渡辺:今は曲を書く人も増えて(菅野と青木と)4人で書いていますね。
 なるべく英語のフレーズを使わないようにしていた60年代当時の日本のロックの影響はありますか?
渡辺:そうですね。当時は歌詞に自信がなくて、でも英語を使うわけにはいかないとなると、松本隆さんや鈴木慶一さんの漢字が多い漢字の歌詞は意識していますね。
 CSNみたいな楽曲となると、それを日本語詞で歌っただけで全然空気がガラッと変わってしまいますよね。
渡辺:なので、ほとんど音で選んで、単語はそのときそのとき頭に浮かんだもので書いていて。ただ大滝詠一さんなりサザンオールスターズなり、その手の詞を歌に乗せる先人はいっぱいいたので、わりとすんなり入れた感じはありますけどね。
 もともとオリジナル志向ですか?
渡辺:最初はCSNのコピーから入ったんですけど、練習の日にこっそり自分のオリジナル曲も入れて(笑)。実際やってみたら凄く良かったので“オリジナル曲でやってみよう”という風になって。3声のボーカルを慣らしてから、オリジナルに行った感じですね。
 デモEP『秘密のミーニーズ』からしてクオリティが高かったですよね。
淡路:あれは結成して半年くらいだっけ?
渡辺:そうだね。まずは音源がないと何も始まらないと思ったので。前の編成のときに作ったものなんですけど。その後最初のトラックの「みち草」という曲だけ今のメンバー編成で録り直していて。
 最初から出したい音が定まっている感じが面白いんですけど。当然CSNと同じ機材を持っているわけではないわけで、よくここまであのテイストを出せるなと(笑)。
渡辺:たまたまだと思います。家の貧弱な機材でやったから60年代っぽくなって良かったって言われたこともありますし。今のレコーディングスタジオとかでやったら、奇麗な音になりすぎてああいう感じにならないかなと。
 『おはなフェスタ』もそうなんですけど、小さい部屋に集まって一緒にプレイしているような音なんです。しかもテープで録っているような…ヒスノイズがないからそれはありえないと思うけど。
渡辺:前に誘われて一度レコーディングスタジオでレコーディングしたこともあったんです。そのときはハイファイな音になりすぎて、自分達の狙った感じとは違うものになったこともあって。たまたまうまく行ったからって、それをもう一回今のちゃんとした機材で再現しようというのは、逆に難しいんだなってそのときに痛感したんですけど。
 リズム隊の音は特色ありますね。淡路さんのベースサウンドは結構丸みのある音だったから、てっきりプレベをネック側で弾いているのかと思ったら、意外にもリッケンバッカー4001でしたね。
淡路:あぁ、中音域を上げた音作りをしていますね。
渡辺:いつもピックアップのポジションはセンターだものね?
淡路:ほとんどリアには置かない。
渡辺:イコライザーでも高音域はガクッと落としているものね。
 むしろヘフナーのヴァイオリンベースで出しそうな音というか。
淡路:そうそうそう、元々ヘフナーも持っていたんですよ。「みち草」って曲でリッケンのブリブリな音だと合わないなと思って、高音域を落としたところから始まっていて。それが無意識のうちにそのまま他の曲に受け継がれているところがありますね。
 ドラムサウンドも面白いですよね。バスドラもわりと重たく出さないようにしていたり、場面によってタムタムだけしか叩いていなかったりとか、ドラムセットというよりパーカッション的な使い方の印象でした。
渡辺:最初のデモEPのときはわりと偶然の産物というか(笑)。オーバーヘッドのマイキングで録って、下の方が抜けた音になったんですがそれがむしろ良かったので。その後、ドラムキットに1本1本マイクを立てて録るようになってからも、ローの一番下はカットしていましたね。
渡辺K:そのときはまだまだ全員が試行錯誤の段階だったんです。とりあえずそのまま録ってみて、ミックスの段階で調整しましたね。
渡辺:その後レコーディングしても、ドスッドスッという低音は合わないというか…。
渡辺K:基本的に合いませんよね(笑)。
渡辺:ベースもフラットワウンド弦を使っているので、どうしても重たすぎると合わなくなってくるというか。
 淡路さんのベースは指弾きですか?
淡路:いや、ピックです。
 え、ピックなの!?
淡路:全部ピックです(笑)。指で弾くこともたまにありますけど…基本的にピックですね。
渡辺:4001ベースってブリッジミュートかなんかあるんだよね?
淡路:うん、入ってる。
渡辺:あのスポンジのミュートがサステインを抑える感じというか、指っぽいというか、独特のニュアンスになるよね。
淡路:ビートルズが好きだったし、もともとそういう音が好きだったんです。
 アコギは渡辺さんが弾いていることが多いんですか?
渡辺:だいたいマーティンのD-41ですね。CSNならマーティンだなと思って、知り合いの楽器店に「スティーヴン・スティルスみたいに弾くならどれがいいかな?」と相談したら勧められたんです。本当はD-28を買うつもりだったんだけど、D-41って見栄っ張りなモデルというか、D-45を弾いているように見えるしD-28の音がするから(笑)。あとは淡路から譲ってもらったストラトがあって…。
淡路:譲りました(笑)。
渡辺:1万円で譲ってもらったストラトのボディに自分で絵を描いて(笑)。あとグレッチの6120、ギブソンSG、リッケンバッカーの12弦を使い分けていて。やっぱりザ・バーズも好きでリッケンを使わないとロジャー・マッギンに失礼だなと(笑)。
 デモEPだとバンジョーやマンドリンも聴こえてきますよね。
渡辺:マンドリンは…レコーディングで使ったかな(笑)? 淡路君から借りているんですけど。イーグルスも大好きなのでバンジョーも演奏しますね。
 バンジョーは苦戦しませんでした?
渡辺:大学のときにクラシックギターをやっていたので指弾きには抵抗がなかったんです。とはいえ、結構自己流ですけど。
 良い楽器持っていますね(笑)。青木さんのギターは?
青木:フェンダーのジャズマスターとギブソン・レスポールを併用して使っている感じですね。
渡辺:場合によってはグレッチのテネシアンも弾くよね。
 『秘密のミーニーズ』の「雨の日の色鉛筆」はかなり“CSN&Yのデジャヴ感”がありますね。
渡辺:そうですね(笑)。いまだにできあがっていない感じがしている曲で…まだもっと良くできるんじゃないかって。元々自分でデモを作ったときは14分くらいあって…。
淡路:そう、長過ぎる(笑)。
渡辺:長過ぎるっていうんで淡路君とかにどんどん添削されていって(笑)。
一同:(笑)。
渡辺:コンパクトになったことでメリハリがついて。(ピンクフロイドの)『原子心母』みたいになっていったというか(笑)。
 あのアコギ1本になるところ凄いよね。
渡辺:あの頃は朝からずっとCSNのことばっかり考えていて、CSNが好き過ぎてしょうがなくて、“「青い目のジュディー」を世界で一番上手く弾ける”とか言っていて…。
一同:(爆笑)。
淡路:「完コピだよ!」って(笑)。
渡辺:そういう情熱をパッケージしたというか(笑)。スティーヴン・スティルスみたいに変則チューニングで思いきりパーカッシブにかき鳴らす人は他にいないし、ブルースとモーダル・チューニングの影響だったりとか、今は時代に埋もれちゃっているかもしれないけど、アコギサウンドって突き詰めれば絶対再評価されるときが来ると思っていて。60〜70年代のリバイバルブームを起こしたいとは常々言っているんです。スティーヴン・スティルスが日本でより再評価がされれば、ひょっとしたら本人にも会えるかなって(笑)。ニール・ヤングも勿論好きだし、彼のギタープレイみたいなのを真似する人も多いし、だからこそフォロワーが多く生まれてあれだけリスペクトされているんだろうなと。それと比べるとスティーヴン・スティルスのフォロワーって、僕からすると日本だとガロくらいしか思い浮かばないんですよね。だからもっと誰かが持ち上げなければいけないんだよな、と。変な使命感みたいなのに捕われていたりしますね(笑)。
 ただ、ここまでやるバンドは今なかなかいないですね(笑)。「雨の日の色鉛筆」は出だしの1音に生命をかけているなって感じたんです。これから音が鳴るぞって瞬間に感じるものが、『デジャヴ』を聴いたときと同じというか。
渡辺:本当おっしゃる通りです。「キャリー・オン」のイントロの1音目から“わ、凄いカッコいい!”ってなるじゃないですか? “アコギでこんな音を出せるんだ!”っていうのもあるし、カッコいいアコギっていうのを追求したくて。この最初の1音だけでハマれるようなギターサウンドにしたいっていうのがありました。イントロさえ決まれば後は野となり山となれじゃないですけど(笑)、そこに全てがかかっているような気持ちではやりましたね。

秘密のミーニーズ「メトロ・ステーション」2014.4.21 新宿JAM

その日のテンションで曲の仕上がりが変わるようなインプロの曲を

 遂に『おはなフェスタ』がリリースされましたね。
渡辺:今回はきちんとした録音でちゃんとした流通に乗せて、もっといろんな人達に聴いてもらえたらいいなと思って。あと今回はいろんな方に相談して、この手の音楽がとても好きなエンジニアさんが見つかったんです。(自主制作盤の)『秘密のミーニーズ』とは1曲も被らなくて、全部新曲にしちゃったんですけど。特に今の編成になってから、インプロヴィゼーションが良くなったし、そういうのが際立つような曲に取り組みましたね。特に青木さんはアドリブに強いのでその辺が活きるところというか、それも秘密のミーニーズの魅力のひとつにできたらいいなと。
 淡路さん、菅野さん、渡辺さんと3人のボーカリストがいて、ハーモニーも基本的に3声ですか?
渡辺:基本は3声でときどき4人って感じですね。
 先ほどもちょっと話題に出ましたが、このサウンドに菅野さんの女性ボーカルが絡むところが面白いですよね。
渡辺:菅野は僕らとバックグラウンドは違うところもあったりして、でもそれがバンドを好きだって言ってくれる層を広げてくれるし。それにこの男4人だけで音楽をやっていたら、ちょっとこうムサい感じというか…。
菅野:(笑)。
渡辺:いかにも60〜70年代の土臭さというか(笑)。菅野がいることで見た目的にも声的にもそこに透明感が出ると思うんですよね。
「エミリア」は初期イーグルスのテイストを感じますね。
渡辺:本当にその通りで、イーグルスの1stをスタジオに持っていって、エンジニアさんに、こういう音にしたいって言って作ってもらいました。敢えてCSNのCDを持っていかなかったのは、あまりにCSNそのまんまになって内向きな感じになるのを避けたかったのと、イーグルスの1stがイギリスで録音されてて、割と固めなブリティッシュロックのサウンドとアメリカンロックとの混ざり方が(この手の音楽が苦手な人でも)聴きやすくなっているように思えて、参考になるなぁ、と思ったんです。
 こういうタイプの曲だと、淡路さんならではのリードヴォーカルの持ち味を感じますね。
淡路:僕の声って、イーグルスっぽいんですかね(笑)以前お客さんからランディ・マイズナーに歌声が似てるっておっしゃっていただいたこともあって、恐縮したのを思い出します。学生時代ビートルズのコピーをひたすらやっていた時期に、大好きなポールの担当だったこともあって、高音で歌う癖が付いているのかもしれません。
渡辺:ちなみに曲をスタジオに持ってくるとき、ここぞという曲は必ず淡路くんに歌ってもらうようにしてます。
淡路:「ここぞ」という曲にはいつでも応えられるようにしておかないといけないですね(笑)。
 「メトロ・ステーション」は菅野さんの作詞作曲ということもあり、これまでのミーニーズ・レパートリーとはまた違ったムードがありますね。シンガーソングライター路線のバンドサウンドというか。ウィスパーだったり様々な歌い方が凝縮したコーラスアレンジは菅野さんですか?
菅野:はい、あのコーラスは全部自分の声です。もともとこれでもかってくらいゴテゴテにコーラスを重ねている曲が好みなこともあって、やりたいようにやらせてもらっちゃいました。コーラスを重ねづけしている瞬間が一番楽しいので、気が付けば時々やりすぎてしまっていることがあるんですけど、そこは後からメンバーに冷静に聞いてもらって修正しています。
 スライドプレイは青木さんですか?
青木:そうです。ボリュームペダルとショートディレイを使ってペダルスティール風に演奏しています。
 そして「学校を辞めた女の子」は『おはなフェスタ』の大きな聴きどころになっていますね。
渡辺:そうですね、ひょっとしたらこの曲が一番、アルバムの曲の中でやりたいことが決まってたかもしれません。グレイトフル・デッド、クイックシルバー・メッセンジャー・サービスみたいなサンフランシスコ発のジャムバンドも凄い好きで。
 淡路さんの中低音域をブースト感したベースサウンドがインパクトたっぷりですね。
渡辺:ああいうブーミーなベースサウンド、自然なエコーのかかったドラムの上に、ギターがどっちがリード、サイドとか別け隔てなく、時にはぶつかったり、時には絡み合ったりするような音楽をやってみたいなとずっと思っていて、今回ようやく形になった感じです。
淡路:最初にタモツ君のデモを聴いたときに、とっさに思いついたリフで録音まで変更無く来てしまいましたが、そんなことも後悔しないほど、この曲は演奏していて本当に楽しい。個人的には、クリームやエマーソン・レイク&パーマーのように、各人が即興で自由に演奏しているように見えて、実はまとまっているような曲は、今後も増やしていきたいと思っています。
 右トラックのカリカリのストロークサウンドはリッケンバッカーでしょうか?
渡辺:グレッチの6120をフェンダー・ツインリバーブで鳴らしてます。
青木:左トラックはギブソンのレスポール・スタンダードを使っています。アンプはスタジオにアキマ&ネオスのブラック5があったのでそれを使いました。リバーブはエレクトロ・ハーモニックスのホリー・グレイルですね。
 さきほど“青木さんはアドリブに強いのでその辺が活きるもの”というアイデアをおっしゃっていましたが、それがおそらくこの曲のことですよね?
渡辺:はい。その日のテンションで曲の仕上がりが変わるようなインプロの曲をやりたいとずっと考えていて、毎回上手くいかなくても、とんでもなくダメなときがあってもそれはそれで味になる、みたいな…。最初のEPを作った後、青木さんの加入で初めてそういう曲が出来るようになったのがミーニーズで一番良くなったところかもしれないですね。
 ブリッジなどに「TAKE5」を織り交ぜたアイデアは何処から?
渡辺:何気なく部屋でデイヴ・ブルーベック・カルテットの「TAKE5」を聴いていた時に、パッとこの曲にハマるじゃないかと思いついて。遊びでコピーして弾いてみたら意外と良くて、そのまま使わせてもらいました。
 後半のギターソロパートには中期バーズのムードも感じます。あのソロは青木さん→渡辺さん→青木さんの順番ですか?
渡辺:そうです。ソロは基本的に青木さんが弾いてて、自分は真ん中のファズがかかった東洋風味がするソロの部分だけ弾いてます。
 後半、ライドシンバルやフィルアプローチでK太朗さんのドラムも大活躍ですね。
渡辺K:ありがとうございます。録音直前までクリス・コールマンやマット・ハルパーンのビデオを見ていたので、興奮して手足をたくさん動かしてしまいました。

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『おはなフェスタ』は僕たちの名刺代わりのアルバム

 「たんぽぽの女の子」はミーニーズのキャッチーさが前面に出ている楽曲ですね。なんといってもファズギターのフレーズがびっくりなのですが。
渡辺:この曲は自分が初めて曲作りし始めた頃のもので、実はミーニーズを結成する前からずっとやってて。いつからああいうファズギターを入れるようになったかハッキリは覚えてないんですが、多分その頃はバッファロー・スプリングフィールドやはっぴいえんどの影響をモロに受けてて。その中でニール・ヤングや鈴木茂が効果音的に入れてる、ヒステリックな感じのファズギターを真似したのがアイデアの原点だと思います…多分。
 青木さんのリードギターはシングルコイルサウンドでしょうか? トレモロアームは使っていますか?
青木:これもギブソンのレスポール・スタンダードです。エボニーカラーのレスポールにビグスビーを取り付けて、ニール・ヤングのオールド・ブラック風に改造してあります。ギターソロはそのビグスビーによるプレイです。アンプはスタジオに置いてあったヴィンテージのフェンダー・デラックス・リバーブをフルアップで鳴らしています。
 ちょっとアメリカっぽいムードのアルバムタイトル曲「おはなフェスタ」も菅野さんのボーカルをフィーチャーしていますね。以前よりも意識的に菅野さんのボーカルをフィーチャーしようという気持ちはありますか?
渡辺:これはもうず〜っと考えてます。本当はミーニーズの曲のボーカルって全部淡路か菅野でいいと僕は思ってるんですが、自分の力量が及ばず、なかなかそういう(二人に合った)曲が書けず、応急処置的に自分が歌ってる曲がちょこちょこあるというのが現状です。そんな中でもこの曲はジョニ・ミッチェルの声を念頭において作ってあったので、菅野加入前から作りためてた曲なんですが、迷わず最初から彼女に歌ってもらう様にお願いできました。
 鳥のさえづりが終始聴こえるこのアイデアは何処から?
渡辺:ビートルズのAcross The Universeからです。イントロに鳥の声が入る、ちょっと変わったバージョンがあって、前々からそのアイデアをどっかで真似できないかなぁと考えてました。
 チターかと思うくらいキラキラしたアコギ(右側)のアルペジオはどのように慣らしていますか? 結構ハイポジションでカポを付けているかと思います。
渡辺:12弦アコギにカポを8フレットにつけて弾いてます。12弦のハイポジションでコードを鳴らすと、風の”22才の別れ”のナッシュビルチューニングみたいで、何となく切ない響きが好きですね。
 そして「ね こ い ら ず」は超問題作ですね。スライ&ファミリーストーン風といいますか、ビートルズの「YOU KNOW MY NAME」を彷彿させる遊び心といいますか、こういう黒人音楽テイストのファンクも皆さんお好きなんでしょうか?
渡辺:これはかなり自分の趣味が強いですね。私事なんですが家内がソウル、ファンク好きで、それに影響を受けて自分もよく聴いてるんですが、それはあくまで家の中だけでの話しで、今までバンドでそういうのは特に反映させてこなかったんですね。ですが最近になって、ザ・バンドがアラン・トゥーサンを起用してソウル&ブラックミュージックにアプローチしてるのを思い出して、それと大滝詠一のノベルティソングみたいなのを混ぜてみたら、ミーニーズでやるのも筋違いではないな、と。とりあえずボーナストラック的な扱いでバンドで演奏してみたら、案外バンドメンバーからも受けが良くて、そのまま正式採用になった感じです。
 シンセやクラビネットっぽい音作りも驚きましたが、このロボットvo処理はいったいどこから生まれたアイデアですか?
渡辺:これはもう苦肉の策ですね、最初はちゃんと歌ってたんですが、なんかしっくりこなくて…。自分のボーカルに表現力が無いから生真面目に聞こえちゃうんですよね。それでボーカルエフェクトをいじっていて、ピッチシフター使用を思いついたんです。
・ハーモニカソロは渡辺さんですか?
渡辺:はい。正直下手の横好きで、ベンドが下がりきってなかったり、音楽的にはかなりNGだと思うんですが、こういう駄目さもまた冗談音楽っぽいかなと思ってそのまま残しました。
 回転リプライズだったりと、ビートルズ・リスペクトも満載ですね。
淡路:それはもう、これでもかっ! てくらいリスペクトしていますから。僕だけかもしれませんが(笑)。色々な動物の声はタモツ君と僕で吹き込んでいますが、ビートルズのおふざけ要素を散りばめたつもりです。
 最後に『おはなフェスタ』を引っさげての今後の展開について教えて下さい。
渡辺:このアルバムは僕たちの名刺代わりという意図があって、今までやってきたことをコンパクトにまとめたつもりです。アルバムを聴いていただいてウエストコーストロックが好きな多くの人たちとつながれたら勿論嬉しいですし、逆にそういう音楽に元々は興味が無かったけど、ミーニーズのCDを聴いて、フォークロックとか僕たちが好きな音楽に興味を持ってもらえる、そういう架け橋的な存在になることが出来れば感無量です。抱負として、発売直前にこういうのも何ですが、早く次のアルバムが作ってみたいですね。
淡路:これまでは僕らの音楽の種類を一言で伝えることが出来ず、なかなか皆さんに上手く説明することができませんでしたが、ようやく正式に自己紹介できる音源が出来たと思っています。今回は敢えて収録しなかった曲も、早く正式に録音して発表したいですね。今回は名刺代わりということで、中でもフォークロック色が強い曲を中心に選曲しましたが、今後は、アルバム毎に異なる印象を持っていただけるような、そんな形で進めて行ければいいなと考えています。おこがましい話ですが、それこそビートルズのように良い意味で形を変えて行ければ(笑)。とはいえ、フォークロックという根幹はしっかりと持っていたいと思います。
渡辺:今回CDには入れられなかったけど、ミーニーズには他にもいろんなタイプの曲があるので、今度はフルアルバムでお聞かせ出来たらと思います。その際はまた是非よろしくお願い致します!

Interview by 北村和孝(Y.M.M.Player)

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『おはなフェスタ』
"http://secretmeanies.jimdo.com"
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